2012年9月2日日曜日

『草原』24-08(通巻116)号より


塩鮭ほぐして新茶のお茶漬け  白兎
 腹がたまらなく鳴る句となりました。塩鮭もさることながら、作者は静岡の方ですので、新茶もまた格別においしそうです。

予備校の宿舎から止まらない目覚ましの音  啓司
 作者の住居の近くに宿舎があるのか、あるいは通勤路にあるのか不明ですが、朝の五時や六時といった時間に鳴っているのでしょう。それも毎朝、止まることなく鳴りつづける。目覚ましの主は、はたして起きて勉強することができているのでしょうか。

足跡に雨たまる  風狂子
 短い何気ない句ですが、この景を詠んだ句は記憶はありません。よく気付かれたなと思いました。

ビール半額まずは2杯目  明人
 既に一杯目は飲んでいる、というところが面白いです。ほとんど下戸の私には、ビール一杯で十分でして、二杯、三杯と飲める方がうらやましくてなりません。

傷つきやすい女に逢う爪を磨ぐ  ゆ
 相手が傷つきやすい女でしたら、爪をしっかりと磨いで会うことが必要なのでしょう。このさりげない気づかいを、女は気付いてくれるかどうか。 

ひとつずれた席に知らない温もり  慶
 列車の中でのひとこまでしょうか。よくよく考えてみれば、知っている温もりの方が世の中には少ないですね。知らない誰かではありますが、温もりを忘れた機械ではなく、温もりをもった人間であったことがわかってよかったのかもしれません。

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